手掌(てのひら)側の手首に骨と靭帯でできた手根管というものがあります。この手根管はトンネル状になっておりその中に9つの腱と正中神経が通っています。何らかの原因により手根管内の正中神経が圧迫されることで痛みや痺れが現れるものを手根管症候群と呼びます。
はっきりとした原因は不明ですが、手根管症候群の症状は女性に多く手根管の隙間が男性に比べて狭いためと言われています。女性の中でも特に妊産婦や更年期の女性に多く、これは、女性ホルモンの乱れによるものだとされています。
女性ホルモンの中にエストロゲン(卵胞ホルモン)があり、エストロゲンには炎症を抑える作用があります。妊娠出産期や閉経後はこのエストロゲン(卵胞ホルモン)が低下し、炎症を起こしやすい状態なので妊産婦や更年期の女性に多いのはこういった理由があるためと言われています。
他にもパソコンのキーボード操作など手を酷使する仕事に就いている方も起こりやすく同じ動きを繰り返すうちに靭帯や隣り合う腱同士で擦れ合うことで炎症が起きます。
根管症候群の症状は、正中神経の支配領域である親指、人差し指、中指、薬指の中指側半分の3本半に痛みや痺れ、運動障害を起こします。痛みや痺れは常にあるわけではなく、力を入れたりする時に感じることが多いようです。症状が進行すると、ペンや箸が持ちにくくなり日常生活に支障が出ることもあります。